湧き水が寺社の創建や祭りに関連している例をいくつかご紹介します。

湧き水は、人間不在の自然現象。ここに人が介在すると「湧き水」は「井戸」に変わります。

人々が生活に利用する湧き水が「井戸」。

湧き水は、むらの創始に関わっているともいえます。

一方で、実は、神社仏閣の創建にもかかわっています。

今回はその中からいくつかの例をご紹介します。

 

鞍馬寺本堂脇 閼伽井護法善神社

鞍馬寺本堂の脇に聖なる井戸があり、閼伽井護法善神社あかいごほうぜんじんじゃとして水の神様を祀っています。

閼伽井護法善神社

京都府 鞍馬寺・鞍馬山 休日の癒し より引用

千年ほど昔に、修行中の峯延上人(ぶえんしょうにん)を襲った大蛇のうち、雄蛇は斃されて「竹伐り会式」の由来となり、雌蛇は本尊に捧げるお香水を永遠に絶やさぬと誓い、ここに祀られました。

退治された大蛇がもたらした井戸を祀ったものですね。

 

戸隠神社 九頭龍社

戸隠神社の奥社には「九頭龍」が祀られています。

戸隠神社の奥社に九頭龍社

戸隠神社HPより引用

鎮座の年月不明ですが、天手力雄命が奉斎される以前に地主神として奉斎され、心願成就の御神徳高く特別なる信仰を集め、また古来より水の神、雨乞いの神、虫歯の神、縁結の神として尊信されています。

戸隠信仰の原点は、戸隠山系から流れ出る水=九頭龍の信仰でした。

 

熊野本宮と湯の峰温泉

熊野本宮は小栗判官をよみがえらせたという「湯の峰温泉」があります。

湯の峰温泉

およそ600年の昔、戦に敗れ常陸の国(茨城県)に逃れた小栗判官は、相模の大富豪、横山家の長女 照手姫と出会い恋におちます。しかし二人の関係に立腹した横山家は、小栗判官に毒を飲ませ殺してしまいます。

地獄に落ちた小栗判官は閻魔大王の同情をかい、蘇生への道として餓鬼阿弥の姿に変えられ現世に送り返されました。

哀れな姿で倒れていた小栗判官は通りかかった高僧に助けられ、木の車に乗せられて熊野の湯の峰を目指します。

小栗の首には高僧により「一引き引いたは千僧供養、二引き引いたは万僧供養」と書かれた札が下げられました。

一方、照手姫は恋人を失った上、兄弟の策略により流浪の身となっておりました。ある時、首から札を下げた餓鬼阿弥を見て、亡き小栗判官の供養になればと湯の峰へ参詣の旅に旅立ちました。

長い旅路の果て、ついに湯の峰に辿りついた照手は餓鬼を四十九日の間つぼ湯に浸けて湯治させたところ、なんと元の小栗判官の姿に戻ったというお話です。

熊野信仰と小栗判官伝説より引用

 

東大寺2月堂の若狭井

大松明の乱舞「お水取り」は、若狭から湧き出てくるという聖なる湧き水の神事です。

閼伽井屋

奈良・東大寺の二月堂の前に「閼伽井屋あかいや」という覆屋ふくやがあります。

閼伽あか」は仏前などに供される水のこと。「閼伽あか」を汲むための井戸が「閼伽井あかい」というわけです。

この「閼伽井屋あかいや」の中に「若狭井わかさい」と呼ばれている閼伽井があります。

普段は水が枯れているのに、不思議な事に、「お水取り」の儀式が行われる時だけ、この井戸から若狭の遠敷川に注がれた香水が沸き出すといいます。

朝日新聞ニュース記事

一方、このお水を送る側は小浜市神宮寺の「お水送り」になります。

3月12日に奈良東大寺二月堂で行われる「お水取り」に先がけて、毎年3月2日に行われる小浜市神宮寺の「お水送り」は、奈良と若狭が昔から深い関係にあったことを物語る歴史的な行事です。

奈良のお水取りが終わると春が来る。関西の人々は、毎年この春の兆しを待ちわびます。この奈良東大寺二月堂のお水取り(修ニ会の「お香水」汲み)は全国にも有名な春を告げる行事ですが、その「お香水」は、若狭鵜の瀬から10日間かけて奈良東大寺二月堂「若狭井」に届くといわれています。

若狭小浜観光協会HPより引用

 

少し趣旨とはズレますが、面白いところではコチラ。

遠山郷の冬祭り「霜月祭り」

遠山郷の冬祭りは、「霜月祭り」と呼ばれています。

長野県南部から愛知県・静岡県の山間地帯に分布する冬祭りと同系統の祭りです。

共通点は、「湯立て」。

これは、神社に竈をつくり、そこに大きな釜を据え、それで沸かした湯を囲みながら、祭りが執り行われます。

この湯は、「聖なる湯」であり、これにより村のあらゆるものが清められることになります。湯は、ときには水よりも霊性が高いとされてます。

湯立

遠山の里に古くから伝わる「霜月まつり」は、両部神道による湯立祭りで、清和天皇の貞観年中(859~876)に宮廷で行われていた祭事を模した湯立が、ほぼ原形のままで伝承されていると言われています。

遠山郷観光協会HPより引用

煮えたぎる神々の湯を浴びて、里人たちは身を清め、春まく種も稔り豊かに、平和で豊かな里であることを祈願します。

ちなみに、湯は不治の病さえも治すことができると考えられています。

これは、例えば、私たちが温泉によせる効能みたいなもの。温泉=熱い湧き水です。

温泉の効能は科学的にも証明されていますが同時に、呪術的な治療効果ともいえるのではないでしょうか。

 

まとめ

湧き水が神社仏閣の創建や祭りに関わっている例をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

人不在の自然現象である「湧き水」は、そこに人が介在することで「井戸」に変化し、周囲に人々の生活や暮らしが営まれるようになる、神事や信仰の源泉となっていくという事ですね。

尚、コチラでも御神水について詳しく解説していますのでご参考にされてください。

 

コチラも是非!おススメ関連エントリー

「水の信仰」の歴史と概要まとめ|水の神様や歴史、全国の主な事例をまとめてみました

2016.07.15

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA